大判例

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名古屋高等裁判所 昭和29年(う)1112号 判決

先ず職権を以て調査するに原判決は被告人は昭和二十四年十二月十四日頃半田市旭町林屋料理店において相武虎吉に対し、真実隠退蔵物資の存在も保管事実もないのに、又返済資力も意思もないのに拘らず(中略)虚構の事実を申向け、同人をその様に誤信させて、同人より即時同所においてその情を知つていない立会人高見好弘と共同借用名下に金十万円の交付を受けて之を騙取したものであるとの事実即ち詐欺の事実を認定し、之に対し刑法第二百四十六条第一項第六十六条第七十条第七十一条第六十八条第三号即ち酌量減軽の規定を適用し、被告人を懲役一年に処したことは判決文に徴し明白である。然しながら酌量減軽をする場合は法定刑の最低を以て処断しても、尚重いと思料される場合に限るべきことは大審院の判例(昭和七年六月六日判決)とするところである。而して詐欺罪の法定刑は一月以上十年以下の懲役であるから之が酌量減軽をする場合は一月に満たない懲役刑を以て処断すべき場合に限るところ、原判決は前示の如く被告人の所為を詐欺罪に該当するものと認定しながら、被告人を懲役一年に処したのであるから酌量減軽の規定を適用する余地はないものであり、従つて原判決には法令の適用に誤りがあり、その誤は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、原判決は之を破棄すべきである。

(裁判長判事 高城運七 判事 柳沢節夫 判事 赤間鎮雄)

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